橋本大二郎 前高知県知事の拙著への書評を掲載させていただいた。

過日、「福島のつどい」で手嶋龍一氏が、
「福島県以外の地方紙の読者は、共同通信配信のこの書評を読んでいる。
 何故か、最も読まれるべき福島県の地方紙のみが、この書評を掲載していない。
 ぜひ、福島県の方に読んでいただきたい」
とおっしゃっていた書評である。

私自身も米子の友人がくれた手紙で初めて掲載を知り、わざわざ送ってもらって読んだ。

私は「知事抹殺」で、知りうることのみを記した。

私自身がどのような思想を持ち、何を考え、政治家として、知事としてどのように行動してきたか、そして何が起こったかを、叙事的に綴った。

憶測や推測による背景の謎解きにはもとより興味はないが、そういったものを交えず書いたつもりである。
その点では、娯楽や陰謀論、国策捜査の声高な告発を期待する方には、明らかに物足りないかもしれない。

知りうる確実な事実のみで構成した、私の法廷外「証言」である。
そういった意味で、橋本氏の書かれたように「自分が裁判員になったつもりで、」
読んで頂ければ幸いである。

橋本氏が知事になる前、四元義隆氏が橋本氏を高知県知事に立候補を勧めているとの話を伺い、驚いたのを記憶している。当時は田中派から分派して絶大な権力を持っていた金丸氏に対抗してのことだ。

「知事抹殺」でも少し触れたが、四元氏は戦後政治の中で総理のご意見番をしながら本気で日本の行く末を考え、志ある若い政治家を見出し、育てようとした方だった。
橋本氏は見事な戦いぶりで知事になられた、知事会でも独自の考えを持ち行動されていたのを覚えている。

的を射た書評を頂き、感謝申し上げる。

しかし「てぬかりがあった」との御指摘に対して、あえて一言付言するならば、検察が問題とした弟の土地取引に関しては、正式に不動産業者を介し、つまり売買記録が全て残る形で、利用価値の高い土地を適正な市場価格で売却したのである。それは控訴審で認定された事実であり、なんら疾しい点は一切ないことははっきり申し上げておく。

先のエントリー「控訴審判決をうけて」を御一読いただきたい。

土地取引の事実さえ私が知らされていなかったことは既述の通りだが、そこまでも正しく認定されるのであれば、「てぬかり」以前に、争点の一つである以上、そのまま私は無罪であるということに他ならない。

コメント(1) 佐藤栄佐久

■コメント

福島県の地方紙だけが掲載しなかったというのは面白いですね。

ネットの普及によって新聞という形のメディアの存亡が問われている時代だからこそ、事実を忠実に追い、独自の分析力を発揮することによって生き延びることができるのですが、福島県の新聞が独自の記事を準備していて掲載しなかったというのであれば良いのですが。